− 2005年度版 −

『言葉のクロッキー』は、内容・テーマを絞り込んだ短文を書くことで、
効果的に
文章力をアップするプログラムです。


文章は自分の書きたいことを漫然と書いたのでは、いくら書いても上達しません。
それは漫然と手足を動かしていても身体をシェイプアップできないのと同じことです。

身体訓練として行うには、ある程度の負荷が必要ですし、身体のどの部分に働きかけて強化するか、
を意識していることが大切でしょう。人体の構造をよく理解した上で作られた科学的なカリキュラムが必要なのです。

同様に、文章を書く場合には、その人の精神に対して働きかけることが重要になります。
凝り固まった部分をほぐし、柔軟に心が動くようにすること。さらに、できれば、心の筋肉をパワーアップすること。
文章を書くことは、単なる一つの技芸ではなく、精神の運動全体を活性化する効果があります。


『言葉のクロッキー』には、シンプルでさりげない課題の中に、
僕の
25年に亘る編集・ライター生活のエッセンスを凝縮してあります。
今までの文章ワークブックの類の中で、最強のメソッドであると自負しています。

とはいえ、実行するのは、それほど難しくありません。
文章の長さはたいてい400字以内。30分以内に書くのがルールです。


金曜日の朝に、メールで課題が届きます。
そのときから、通勤、通学、家事や、仕事の合間に、何をどう書こうかな、と考え始めてください。
そして、イメージが固まったら30分で書き上げてください。

次の日曜日の午後に、作品例と解説が届きます。

別に正解があるわけではありませんが、この2回目のメールを読むことで、
自分の位置を知ったり、考え方の参考にすることができるでしょう。


簡単な課題だけではありません。
中には、なかなか手のつけられない難題もあると思います。
しかし、一人で書いていたらそういう難題がある、と知ることもないでしょう。
難しい課題に苦しむこと自体が、精神の大きな刺激なのです。

毎週のちょっとした頭と心の体操として
、気軽に楽しみながらしていただければと思います。
それだけでメキメキと文章力がつきます。


毎週1題、10か月分、40題の課題があります。


テーマと難易度
(★★★が最高)
家族
純粋描写
★★
人物
(モノローグ)
ナンセンス
★★
町・村の描写
★★
人物
(ダイアローグ)
人間観察
感情移入
★★
言葉の定義
★★★
時間
★★
嘘とホント
★★
自分自身
感情
★★




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村松恒平(むらまつこうへい)
著書『プロ編集者による文章上達<秘伝>スクール』(メタブレーン刊)が最近好評。
これは現在も続いている人気メールマガジンをまとめたもの。

1954年、東京生まれ。新聞社勤務を経て、JICC出版局(現・宝島社)に入社。
雑誌『宝島』の編集に携わり、単行本『ANOANO』『VOW』
『愛より速く』(斉藤綾子)『インテリ大戦争』(呉智英)などを送り出した後、
自身のオフィスにて『元祖テレビ屋大奮戦』(井原高忠/文藝春秋)
『共生の思想』(黒川紀章/徳間書店)
『ロックの子』(桑田佳祐/講談社)などの編著、
『なす』(安齋肇・しりあがり寿・なんきん/アスペクト)
『スカートの中の秘密の生活』(田口ランディ/洋泉社)などを編集。

著書に『雑学人間入門』(青春出版社)、『ほとんどすべての人のための神様学入門』(洋泉社)、
『プロ編集者による文章上達<秘伝>スクール』『文章王-[プロ編集者による]文章上達〈秘伝〉スクール 弐』
(メタ・ブレーン)、など。

ホームページ http://www.hiden.jp/m/
メール info@school.club.ne.jp





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  言 葉 の ク ロ ッ キ ー       <課題編サンプル>
  http://www.hiden.jp/lesson/index.html
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   こちらは金曜日の朝に届く課題編のサンプルです。

   課題をチェックしたら、
   通勤、通学、家事や、仕事の合間に、
   何をどう書こうかな、と考え始めてください。

   そして、イメージが固まったら30分で書き上げてください。


   今週のお題は……



 □ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄□
 |  
 |  lesson 00
 |  
 |  
 |  
 |  植物を目の前に置くか、植物の前に行って実際に観察し、
 |  その植物の気持ちになって文を書け。
 |  
 |  400字以内。
 |  
 |  
 |  
 |  
 □ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄□




━━━ ヒ ン ト ━━━


    本当に「植物になって」書いてみてください。
    ただし、一応人間語に訳してください。

    植物なんて人間よりたいへん、という人と、
    人間よりはまし、という人がいるのではないでしょうか。

    こうなってくると宗教の行法のようなもので、
    できるかどうかではなく、
    そのことに集中できるかどうかが問題になってきます。

    できる、できない、と考えるのは、
    すでに心の中に壁があるのです。
    できる、できないではなくて、やってみる、という態度に、
    すでに一つの達成があると考えてください。

    意識の流れは川の流れのようなものです。
    一つのところに留まることがありません。
    意識の姿を自分で観察するのはたいへんに難しいものです。

    でも、このように植物の気持ちになる、とか
    特殊な意識状態を自分で作りだしてみると、
    自分の意識のあり方を瞬間的に観察することができます。

    全40題のなかでもたいへん高度な課題ですが、
    ちょっとした頭と心の体操として、
    気軽に楽しみながらしていただければと思います。




━━━ 言葉のクロッキーについて ━━━


   *クロッキーは素描です。
    机(パソコン)に向かったら、1問30分以内で書いてください。
    その前に考えるのはいくら長くてもいいです。

   *課題の条件は厳密に守ってください。
    微妙にはみ出している人がいます。
    たとえば、ある枠の中に一定のピースを収めるパズルがあったときに、
    「ここはちょっとはみ出してもいいや」ということにしてしまうと、
    パズルの意味がなくなってしまいます。
    時間と文字数、書く対象に制限があります。
    要求されている内容によく注意してください。

   *書いただけでもいいのですが、それだけでは淋しい、
    自分の文を発表したり、人の作品を読んだりしたい、
    という人のために掲示板を用意しました。
    僕はとくに講評などしませんが、
    課題を設定するときの参考にさせていただきます。
    http://www.hiden.jp/lesson/index.html


   *また、掲示板に寄せられた投稿は、
    秘伝メルマガに寄せられた質問と同様に、
    このメルマガや、村松の著作などに断りなく使用させていただく
    場合があります。その点、ご了承ください。




━━━ 次号予告(2005/00/00発行) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    解説編:書くという行為に集中する

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  【発   行】 文章が上達する学校 http://www.hiden.jp/
  【講   師】 村松恒平
  【登録/解除】 http://www.hiden.jp/lesson/croquis.html
  【問い合わせ】 info@school.club.ne.jp
   (c)文章が上達する学校 2003-2005, all rights reserved. 禁複製。




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  言 葉 の ク ロ ッ キ ー       <解説編サンプル>
  http://www.hiden.jp/lesson/index.html
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   こちらは日曜日の午後に届く解説編のサンプルです。

   別に正解があるわけではありませんが、
   この2回目のメールを読むことで、自分の位置を知ったり、
   考え方の参考にすることができるでしょう。



■lesson 00 -----------------------------------------------------

 植物を目の前に置くか、植物の前に行って実際に観察し、
 その植物の気持ちになって文を書け。
 
 400字以内


■作品例---------------------------------------------------------


 どうしても出題者を唸らせるような名作を書きたくて、
 オフィスにある鉢植えをじっと眺めた。
 ベンジャミンもゴムの木もそだちすぎた万年青みたいなのもある。

 その一つを選んでその心を探ろうとした。時間はたっぷりある。
 本当に樹木に乗り移って植物の心の語らいを描いてやるぞ。

 毎日見なれているはずの木でもよくみると、本当にきれいだ。
 葉の色がきれいだ。艶やかに輝いている。
 細い枝の色もくっきりとした黄緑色だ。
 太い幹の淡い褐色との区切りがきちんとしている。

 でも、少しも鉢植えの言葉が伝わってこない。なぜだろう。
 不思議に思って、近づいてみた。
 何か心につたわるものがあってもいいはずだ。
 さっきから5分も見つめているのに。
 公園の木と語らう老人の話を思い出した。きっとこいつも話すはずだ。
 さらに近づいた。枝葉の色合いはさらに鮮やかに目にうつる。

 50cmのところで気がついた。鉢の中に土がない。
 かわりに木切れがいっぱい詰まっていた。
 非常によくできたイミテーションの樹木だった。




■解説 ----------------------------------------------------------


 イミテーションの心を読もうとするとは、とてもいい経験をしましたね。
 そのあとで、本当の植物に改めて向かってみると、
 植物というのは、じつに多弁なものだとわかるでしょう。

 植物的というと、受動的で淡泊という印象があります。
 でも、それは時間感覚が違うだけで、コマ落ちの撮影で撮影すれば、
 いつもざわざわとざわめいているでしょう。
 竹の子が竹になるまでとか、ツル科の植物の生育なども、
 じつに怖いくらに活発だと思います。

 植物は欲望が少ないものの比喩として使われますが、じつは彼らは
 自分が生存すること、生殖すること、繁殖することへの欲望の固まりなのです。
 美しい花、というのは、あれは生殖器ですから。
 そこにあざやかな色をつけて濃厚な香りを発したりする。
 花は剥き出しの欲望なのです。
 緑色も、平和な色、というイメージがありますが、
 全身緑の服を着た人がいたら、異様な印象を与えるでしょう。
 非常に自己中心的な欲望を現しているからです。

 僕に説明させれば、そういうふうに植物を読み解きます。
 でも、そんなことに誘導してしまったらつまらない。
 また、そういう方向だけが解答でもありません。
 みんな違う答を出すというところがおもしろい。

 たとえば「無意味な文章を書きなさい」という課題をかつて出した。
 それに対して、「無意味な文章を書くのは無意味だ」と考える人がいるかも
 しれない。あるいは、「人間は無意味な文章を書くのは不可能だ」という
 意見を持つ人もいるかもれしない。でも、それは
 その人の心の中の要素であって、課題の中にある要素ではないのです。
 そこを間違えないでください。

 ある人は無意味だと思い、ある人は、意味を感じます。
 ある人は不可能だと書くのをやめ、ある人は書くことを実行します。
 そのことを自分の内側の事柄として受けとめてほしいのです。

 それを課題の問題にしたり、僕という課題の作者の問題にすると
 せっかく高まった内圧が流れてしまいます。
 課題に対する疑い、否定、苦手意識、とらえどころのなさ、そういう不安定な
 要素の中でも、書くという行為に集中することが大切なのです。

 書きやすい課題、自分の得意な課題、ノリやすい課題を
 求めていらっしゃるかもしれませんが、それはじつは仕事量が少ないのです。
 不快な課題、苦痛な課題ほど仕事量が多く、自己観察の機会となります。

 鉄アレイで筋肉を鍛えようと思ったら、
 鉄アレイにはある重さがなくてはいけない。その負荷が必要なのです。
 文を書くときにいかに負荷を効率的にかけるか、というのが、
 『言葉のクロッキー』のテーマです。

 負荷がかかるうちは、まだそのテーマに集中できていない、
 ということが言えます。
 集中できたときには、負荷は消えるのです。
 負荷が消えるときの自分のポジションの取り方、その感覚を覚える、
 ということがその上の段階です。

 クロッキーのコンセプトは意外に深くて、
 いくらでも書けるのですが、今回はこれくらいにします。




━━━ 次号予告(2005/00/00発行) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    課題編:感情と文章を結びつける

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  【発   行】 文章が上達する学校 http://www.hiden.jp/
  【講   師】 村松恒平
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