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◇ネタと調理法

ひとつは、書き出しというのが大きな要素です。
大宅文庫とか、ノンフィクション賞に名を残す大宅壮一は、最初の3行でがっちり読者をつかめ、といいました。

時間的な流れが逆になっても印象的な場面を冒頭の3行にもってくるとか、最初に読者に大きな謎を提示するとか、とにかく興味をひきつける。
パターンはいろいろあるような気がします。

これなど、さしづめ盛りつけ方でしょうか。
あるいは飲み屋でいうと、つきだし。

下手にやるとクサイ、古くさいという欠点もありますが、最近のライターの何の緊張感も工夫もない書き出しを見ると、こういう古い人の教えも大事だと思いますね。


◇効果

小説では、ハードボイルドは、心理を言葉で描くことを一切排除して、行動のみを描くという極端な手法をとることによってある種の効果をあげます。

説明を使わない。
会話を使わない。
会話以外の文を使わない。
比喩を使わない。
固有名詞を使わない。
カタカナを使わない。
漢字を使わない。
ある言葉を使わない。

何かそういう禁止を自分に課して、ある種の効果を上げることもできます。

でも、そんな手法はささいなことです。
何をやってもいい、いろいろなことができる、ということを知っていて、自分のスタイルを愛せる、それが自由ということですね。

文章を書くときにいちばん大切なことは、テーマというものをわしづかみにして離さないことです。

これさえできていれば、後はそれこそ自由に展開すればいいのです。小さい欠点は何ほどのものでもありません。


◇テーマとは何か

テーマという言葉は、よく使われますが、漠然と使っているだけで、人に説明しようとすると、じつはよくわかっていない人が多い気がします。

テーマは直訳すれば主題で、恋愛をテーマにしたドラマといえば、終始、恋愛をめぐるストーリーが展開する、というくらいの認識の人が多いでしょう。

しかし、文章のテーマということを考えるときには、次のようにとらえてください。
「テーマは文章の一貫性を支える軸で、テーマによって何を書くか、何を書かないかが決定される」
とくに後半の「テーマによって何を書くか、何を書かないかが決定される」という部分が重要です。

子どもに作文を書かせると、「朝起きました。歯をみがきました。顔を洗いました」という文を書きますが、これは完全にテーマ不在の例です。何を書かない、という基準がないと起きたすべてを書こうとすることになります。

では、ある人が恋愛をテーマに文を書こうとした場合、それで書けるでしょうか。
やはり、それだけでは書けないのです。たとえば、恋人同士が半日デートをするという情景であっても、細かく書けば400字200枚でも300枚でも書けるでしょう。
しかし、そんなものを読みたい人はいません。
ということは、さらに細かい取捨選択の基準、すなわちテーマが必要になってきます。

本当にものを書くためのテーマとは、世間一般で大ざっばに言われているものより、ずっと細かなものです。たとえば、反戦がテーマの小説があるとしても、「反戦」という2文字ですむなら、何も何百枚もの原稿は必要ないのです。

テーマが明確につかめていれば、文章は比較的すらすらと書けます。いろいろ悩んで書きあぐねているときは、その人の中でテーマがブレていたり、混乱しているときです。

テーマが絞れていないと、あれも書こう、これも書こうと思い、その中の優先順位が決まりません。テーマが絞れていると、吟味された素材が優先順位順に並んでいる状態になりますので、それを生かす構成というのもむりやり頭をひねらなくても自然に出てくるのです。

文章力というものをよくボキャブラリーの問題にしたりする人がいますが、それは枝葉末節です。まず第一はテーマです。そして、最後までテーマです。

アマチュアだけではありません。プロの最高峰でも、テーマをいかに設定するか、絞るか、という部分で腐心しているのです。

ただ、テーマをどう絞るかということは、どういう世界観でものを見ていくか、とほとんど同一のことであって、一朝一夕には上達するというものでもありません。

小手先ではなく、いわば、精神の全身運動のようなものをしながら、自分の感覚でつかんでいくしかないのです。

もはや、その感覚というものは言葉で説明できる領域を超えています。「文は人なり」という格言があるように、テーマの探求がはじまると、文章はそれぞれの人間の個性に深く根ざしたものになっていきます。。だからこそ、文章を書くこと、読むことには一生つきあえる愉しさと、奥の深さがあります。


◇言葉の魔法

「光あれ、と言ったら光があった」というぐらいのもので。言葉というのは一瞬にして世界を作り出してしまう力があります。

たとえば、

梅干し。

10個の梅干し。

そして、どんぶりに一杯のレモンの絞り汁。

などと書いた場合に、口の中が酸っぱくなってよだれが出てきます。
これは言葉が知的な作用を持つだけではなくて、直接生理的な変化すら起こさせるパワーを持っているということです。
文章を書くということは、単なる言葉の意味の積み重ねではなく、目に見えぬ言葉のパワーを召喚し、錬金術的に組み合わせる技術に至ります。

真っ白なエディターの画面に、最初の言葉を打ち込むとき、そういう魔法を感じる人は、文章の道を遠くまで歩いていける人です。

じっさい言葉の世界の中では、私たちは一瞬にして宇宙を作り出すことも消すこともできます。
今ちょっと試しに銀河系を消してみましょう。

「……。
 昨日は10個の銀河系を消した。
 今日は30個を消す予定。
 明日は50個だ。
 ……ああノルマがきつい。」

文章は本当のことだけを書くようにはできていません。プロレスに必ず場外乱闘があるように、リングの外の嘘の世界も宇宙としてとらえてみると、その虚実皮膜の間に豊かな表現の場所が見えてくることがあります。


◇原稿を削る

たくさん書いてから削る、ということは、「書きながら完成に近づけていく」ということですよね。

僕の場合、あるときから、そういう書き方はやめました。
ではどうしているかというと、
「完成してから書く」
ということです。

これは頭の中ですべて文章の隅々までできあがってから書く、ということではありません。もっと、ぼやっとした気分の問題ですが、「できた」と思ってからワープロに向かいます。

「できた」と思う前に書き始めると、書いているうちに迷うことがあり、時間もかかります。またある程度以上、精度の高い要求に答えることもできません。

言葉での思考というのはけっこう密度の粗いものなのです。ですから、思考以前にイメージや直観的な把握が完成していて、そこに言葉をモザイクのようにはめていくという作業を実際にはしているように思われるのです。

文字数まで含めて、すべてをインプットしておいて、あとは冒頭からかき始め、すらすらと書いて、書き終わった時点で作業終わり、これが理想です。

言葉にしてから考えると、どうしても思考の痕跡が残ってきれいではありません。エネルギーの流れにムラが出るという感じ。焼き物で言うと、途中で予定変更して形を変えたものは、どうしてもきれいでない気がする。目に見えないヒビなんかが入っているような気がします。迷いなくさっと作られたモノがじつは上等です。

日本の弓道では「当ててから射る」というようなことを言いますね。
心の中で先に的を射抜いてから矢を放つから外すことがない、という訳です。
まあ、そんなにいつも立派な文章を書いているつもりもありませんが、気分としてはそういう気持ちで書いています。

その感覚の精度を高めていくと、下書きをするというプロセスさえも形にせずにすませることができるようになります。そして、より直接的にこまやかな表現の世界に入っていくことになると思います。


◇心情

ほとんどの読者はあなたの心情や心象風景には関心がないのです。
そこを巻き込んでいくには周到な仕掛けがいります。

漆塗りでも、あざやかな朱を出すのに、黒を下塗りすると言います。
心情を前面に出さずに書くと、それは行間ににじみでて、なかなか奥行きのあるぜいたくな仕上がりになるはずです。


◇読ませる工夫

読ませるスピードをコントロールする工夫がほしい。
たとえば、下手にやるとあざとくなるのですが、体言止めがまじってもいいし、「、」でつなげて、なかなか「。」が出てこない長い文があってもいい。

ネタを生かす語り口、ということを工夫してみてください。


◇セックスを描く

セックスを描くときには、自分を対象化して見る、突き放して見る、という作業が必須です。
頭で考えて書こうとすると、悪ふざけになったり、偽悪家ぶりが鼻についたりします。


◇著者の位置

自分が出たくないなら、出なくても、完全な3人称で書くことも可能です。
ちょっとでも出るなら、どういう立場にあってそれを見ているか、ということを少ない言葉でも明確にしなければいけません。


◇スタイル

自己完結したスタイルというのは、他人に伝わるものが少ないのです。
文章の技術とは、表現上の技術であるとともに、根底的には人とつながる技術です。
自己完結したまま書く文章というのは、読者に「自己完結したままの私を愛してほしい」というやっかいな要求をつきつけることになります。


◇自信をもって

寓話なら寓話、現実的なことを述べるなら、それはそれ、で統一すべきです。
現実の風潮に同調している人ばかりがいるわけではありません。自信をもって自分の感覚や体験を書きましょう。

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